フォカッチャの高加水の違いとは?しっとりもちもちに焼き上げるコツとおすすめの材料

イタリアの食卓に欠かせないフォカッチャですが、最近では「高加水」というキーワードが注目を集めています。粉に対して加える水の割合を増やすことで、家庭でもまるでお店のようなクオリティを再現できるようになります。加水率の違いが生み出す魅力と、その特徴について詳しく解説します。

目次

フォカッチャの高加水の違いは食感と扱いやすさに出る

加水率とは、小麦粉の量に対して使用する水分の割合を指します。一般的なフォカッチャの加水率は70%前後ですが、高加水と呼ばれるものは80%から、時には90%を超えることもあります。この水分の差が、焼き上がりに劇的な変化をもたらします。

高加水は気泡が大きくなりやすい

高加水フォカッチャの最大の特徴は、断面に見られる大きく不規則な気泡です。生地に含まれる水分量が多いと、生地自体が非常に柔らかく、伸びやすくなります。このため、発酵過程で酵母が発生させる炭酸ガスを、生地が柔軟に受け止めて大きく膨らませることができるのです。水分が少ない生地ではガスを閉じ込める力が強く、気泡が細かく密になりがちですが、高加水生地はガスを優しく包み込み、ボコボコとした理想的な穴を作り出します。

また、オーブンに入れた瞬間の「オーブンスプリング」も強力です。生地内の豊富な水分が熱によって一気に水蒸気へと変わり、その圧力が生地を内側から押し上げます。この水蒸気の力によって、さらに気泡が押し広げられ、軽やかな構造が出来上がります。この大きな気泡があることで、口に入れた瞬間の歯切れの良さが生まれ、フォカッチャ特有の香ばしい風味をより強く感じることができるようになります。プロが焼くような、中がスカスカに見えるほど軽いフォカッチャを目指すなら、高加水は避けて通れない道です。

しっとり感ともちもち感が増える

水分を多く配合することで、焼き上がりの食感は「しっとり」と「もちもち」が共存する独特なものになります。小麦粉に含まれるデンプンは、水分と一緒に加熱されることで「糊化(こか)」という現象を起こし、もちもちとした弾力を生みます。水分量が多いほどこの糊化がスムーズに進み、生地全体の保水力が向上するため、時間が経ってもパサつきにくいのが大きなメリットです。

また、高加水生地はグルテンの繋がりがしなやかになるため、噛み締めたときの上品な弾力が楽しめます。外側はオリーブオイルでカリッと揚げ焼きの状態になり、内側は吸い付くようなしっとり感がある。このコントラストこそが高加水フォカッチャの醍醐味です。翌日になってもトースターで軽く温め直すだけで、焼きたてに近い瑞々しさが戻るのも、水分をたっぷり含んでいるからこその特徴です。

生地がゆるくて成形が難しくなる

魅力たっぷりの高加水フォカッチャですが、唯一の難点が生地の扱いやすさです。加水率が80%を超えてくると、生地はもはや「塊」というよりは「ドロドロとした液体」に近い状態になります。一般的なパンのように手でこねたり、丸めたりすることはほぼ不可能です。打ち粉をしてもすぐに生地に吸収されてしまい、手や台にべったりとくっついてしまうため、初心者の方はここで挫折してしまうことも少なくありません。

そのため、成形には打ち粉ではなく「オリーブオイル」を潤滑剤として使うのが鉄則です。手や作業台、保存容器にたっぷりとオイルを塗ることで、生地のベタつきを抑えながら形を整えることができます。また、形を整える際も無理に引っ張るのではなく、重力を利用して生地を広げていくような繊細な扱いが求められます。この「扱いにくさ」を理解し、道具やオイルを賢く使うことが、高加水フォカッチャを攻略するための第一歩となります。

焼き上がりの軽さが変わる

一般的なフォカッチャが「食べ応えのある厚焼きパン」だとすれば、高加水フォカッチャは「空気を含んだスナック」のような軽やかさを持っています。生地の密度が低く、水蒸気の力で大きく膨らんでいるため、見た目のボリュームに対して驚くほど軽いのが特徴です。厚みがあっても重たさを感じさせないため、サンドイッチにしても具材の味を邪魔せず、最後まで美味しく食べ進めることができます。

この軽さは、食事の際のお供としても非常に優秀です。パスタのソースを吸わせたり、スープに浸したりしたとき、高加水生地の大きな気泡がスポンジのように水分を吸い込み、口の中でじゅわっと旨みが広がります。重厚なパンも美味しいですが、イタリアの現地で愛される、あの「いくらでも食べられそうな軽さ」を求めるのであれば、高加水のレシピに挑戦する価値は十分にあります。

高加水フォカッチャ作りに役立つおすすめ道具と材料

高加水生地は非常にベタつくため、一般的なパン作りとは少し異なる道具選びが成功の鍵を握ります。また、素材の質がダイレクトに味に反映されるのもフォカッチャの面白いところです。扱いやすさを助け、仕上がりをプロ級にするおすすめのアイテムをご紹介します。

道具名特徴・おすすめ理由公式サイトリンク
デジタルスケール0.1g単位で測れるものが必須。正確な水分量が成功を左右します。タニタ公式サイト
料理用温度計水温や発酵温度の管理に。安定した発酵には欠かせません。タニタ公式サイト
スケッパー(カード)手を使わずに生地をまとめたり、分割したりするのに重宝します。貝印公式サイト
パンこね台生地がつきにくいシリコン製や人工大理石製がおすすめです。ヨシカワ公式サイト
角型バット生地を寝かせる容器。ステンレス製は熱伝導が良く管理しやすいです。野田琺瑯公式サイト
材料名特徴・おすすめ理由公式サイトリンク
強力粉 カメリア吸水性が良く、初心者でも安定した生地作りが可能です。日清製粉ウェルナ公式サイト
エキストラバージンオイル香りが仕上がりを左右します。アルチェネロなどは風味が豊かです。アルチェネロ公式サイト

高加水でも失敗しにくい作り方のコツ

水分が多い生地を扱うには、力でこねるのではなく「生地の性質」を利用することが大切です。最初は戸惑うかもしれませんが、ポイントさえ押さえれば初心者の方でも驚くほど美味しいフォカッチャが焼けます。失敗を防ぎ、理想の仕上がりに近づけるための秘訣をまとめました。

こねより折りたたみでグルテンを作る

高加水生地はベタベタしてこねられないため、「パンチ」や「折りたたみ(ストレッチ&フォールド)」という手法でグルテンを強化します。ボウルの中で生地を端から持ち上げ、中央に向かって折りたたむ動作を数回繰り返すだけです。これを20分から30分おきに数回行うことで、時間はかかりますが、力を使わずにしなやかで強い網目構造を作ることができます。

この方法の利点は、生地を傷めずにゆっくりと熟成させられることです。折りたたむたびに生地が少しずつ滑らかになり、弾力が出てくる様子を実感できるはずです。こね不足を心配して無理に台の上で叩きつけると、水分が飛び散り収拾がつかなくなります。高加水パン作りにおいては、「待つこと」も立派な工程の一つだと考えて、生地が自然に繋がっていくのを助けてあげましょう。

一次発酵は時間で見て焦らない

発酵の工程では、レシピに書かれた「時間」よりも、生地の「見た目」を重視してください。高加水生地は気温や水温の影響を強く受けるため、発酵スピードが一定ではありません。目安は、元の大きさから2倍から2.5倍程度に膨らみ、表面に小さな気泡がぷくぷくと浮き出てくる状態です。バットなどの透明な容器に入れておくと、底や横から気泡の入り具合が確認しやすくなります。

もし、なかなか膨らまない場合は、暖かい場所に移動させてじっくり待ちましょう。逆に、あまりに急激に膨らみすぎると、生地の腰が折れて焼き上がりが平たくなってしまいます。室温での発酵に自信がない場合は、冷蔵庫で一晩かけてゆっくり発酵させる「オーバーナイト法」もおすすめです。低温で長時間寝かせることで、小麦の甘みが引き出され、生地の扱いやすさも向上します。

オイルで手と容器を扱いやすくする

高加水生地との戦いに勝つための武器は、粉ではなく「オリーブオイル」です。生地を触る前に、手のひらと指の間にたっぷりとオイルを塗り込んでください。これにより、生地が手に張り付くのを防ぎ、ストレスなく作業を進めることができます。また、発酵させる容器や、最後に焼き上げる天板にも、驚くくらいたっぷりのオイルを敷いておくことが重要です。

オイルは単なる潤滑剤ではなく、フォカッチャの「味」の一部でもあります。天板に溜まったオイルで生地の底面が揚げるように焼かれることで、あのカリカリとした魅惑的な食感が生まれます。「少し多すぎるかな?」と思うくらいの量が、高加水フォカッチャを美味しく、そして扱いやすくするための正解です。オイルをケチらずに使うことが、成功への最大の近道と言えます。

指で押してガスを残すとふわっと焼ける

フォカッチャ作りのハイライトといえば、指で生地の表面にくぼみを作る作業です。二次発酵が終わってふんわりと膨らんだ生地に、オイルを塗った指を垂直に差し込みます。このとき、せっかく溜まったガスを抜きすぎないように注意してください。指を深く入れることで、焼き上がりに美しい凹凸ができ、そこにオリーブオイルや塩が溜まって美味しさのポイントになります。

強く押し潰すのではなく、指の跡を「刻印」するようなイメージで行います。高加水生地は発酵力が強いため、多少押してもオーブンの中で再び力強く膨らみます。このくぼみがあることで、生地の表面積が増え、火通りが良くなると同時に、香ばしい焼き色がつく部分が増えます。最後に岩塩やローズマリーを散らしてオーブンへ入れれば、家中に幸せな香りが広がるはずです。

フォカッチャの高加水はコツを知ると楽しくなる

高加水フォカッチャは、その扱いにくさから最初は難しく感じるかもしれません。しかし、一度あのしっとりもちもち、そして軽やかな食感を体験してしまうと、もう元の加水率には戻れなくなるほどの魅力があります。生地と対話するように、時間をかけてゆっくりと育てていくプロセスも、パン作りの醍醐味です。

特別な道具がなくても、ボウルとバット、そして質の良いオリーブオイルがあれば挑戦できます。失敗を恐れずに、生地が水分をたっぷり含んで変化していく様子を楽しんでみてください。自分で焼き上げた高加水フォカッチャをテーブルに並べれば、いつもの食卓が一段と華やかで贅沢なものに変わるはずです。“`

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この記事を書いた人

イタリアの食卓のような、ゆったりした時間が好きです。このブログではチーズやパスタ、生ハムなどの情報をまとめています。おいしいだけじゃない、保存や選び方のちょっとした知識も生活の楽しさにつながると思っています。

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